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緊張するとお腹が・・・これって過敏性腸症候群?

日本人のおよそ7人に1人と考えられている身近な病気、「過敏性腸症候群(IBS)」。
脳腸相関による代表的なお腹のトラブルで、正しく理解して適切に対処することが大切です。

私・僕もIBS?どういう症状があるの?

腸に異常がないにもかかわらず、精神的なストレスを感じる場面で腹痛や腹部の不快感が続き、習慣的に便秘や下痢などの便通異常を繰り返すのがIBSの特徴です。
女性にやや多く、年齢とともに減ってくることも分かってきています。

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IBSになったら下痢になるの?便秘になるの?

IBSは便の状態から4つのタイプに分類されます。

下痢型:軟便や水様便が多く、男性に多い
便秘型:硬便やコロコロした便が多く、女性に多い
混合型:下痢と便秘を繰り返す
分類不能型3つのいずれにもあてはまらない

気になった場合は"IBSセルフチェック"

1) ここ3カ月の間に腹痛が週1回または月4回以上ある。

2) 腹痛があり、以下の項目の2つ以上が当てはまる。

□ 腹痛は排便に関係している。
□ 腹痛のある時期と排便の頻度が減ったり増えたりする時期が重なる。
□ 便が軟らかくなったり硬くなったりする現象と腹痛の時期が重なる。

1)と(2)が該当するようならIBS の疑いがあります。

もしかしたらIBSかも・・・と思った方は一度、医療機関で相談してみましょう。

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心身ともに疲れる負のスパイラルに

脳と腸は、自律神経やホルモン、神経伝達物質などの働きを通じて密接に関係しています。そのため、ストレスを感じると腸の機能異常が起きたり、痛みを感じやすくなったりします。それがまたストレスになり、悪循環につながってしまうのです。

--腸内細菌の関係とそれぞれが及ぼす影響について詳しくはこちら

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IBS の治療では、ストレスの緩和や腸内環境の改善によって、この悪循環を断ち切ることが大切です。

脳と腸、両方をケアしてIBSを改善しましょう!

IBSの改善には、お腹の調子を整えるだけでなく、ストレスをためないことも大切です。お腹と心にやさしい生活を心がけましょう。

一汁三菜のバランスのよい食事

バランスのよい食事を心がけ、味噌や納豆、ヨーグルトなどのプロバイオティクスも摂取しながら腸内環境を整えましょう。下痢の時は消化のよい物を摂るようにしてください。

※プロバイオティクスとは...体によい影響を及ぼす微生物やそれらを含む食品のことです。
 プロバイオティクスとプレバイオティクスについて詳しくはこちら

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IBSの食事療法として注目されている『低FODMAP』もあります  詳しくはこちら

規則正しい生活

ストレスをためないためには、早寝早起きや適度な運動、13度の食事など、規則正しい生活サイクルを保つことが大切です。

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趣味などでストレス発散

芸術やスポーツなど、自分の興味のあることでストレスを発散させましょう。

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IBSと腸内細菌の気になる関係

IBS の原因についてはまだはっきりとは分かっていません。

ただ、細菌やウイルスによる感染性腸炎にかかると、腸内細菌叢のバランスが乱れ、

それによって回復後にIBSになりやすいことが知られています。

実際、IBS の患者さんと健康な人の腸内細菌叢を比較すると、

健康な人に比べてビフィズス菌が減少するなど腸内細菌叢に違いが見られるという研究結果も。

こうしたことからも、腸内細菌叢のバランスを整えることが、

IBSの症状改善につながる可能性が考えられます

※腸内細菌叢:多種多様な腸内細菌が集まった様子

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IBSはストレスが関係しているため「気持ちの問題」と誤解されがちですが、生活の質を著しく低下させる厄介な病気です。「お腹の調子が悪いくらいで病院に行くのは気が引ける」などと思わずに、IBSを正しく理解して気軽に医師に相談するようにしましょう。


記事の監修

福土 審先生

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東北大学大学院医学系研究科心療内科学分野教授 東北大学病院心療内科科長
1983年東北大学医学部医学科卒業。デューク大学医学部研究員、
東北大学心療内科助教授などを経て、99年より現職。
機能性消化管障害国際ローマ委員会委員。

総合監修

菅野 健太郎先生

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自治医科大学 名誉教授。
1973年東京大学医学部医学科卒業。76年東京大学医学部第三内科に所属、アメリカ留学後、85年同大学医学部第三内科助手、91年東京大学保健センター助教授・副所長。98年自治医科大学消化器内科主任教授。2014年より同大学名誉教授。日本消化器関連学会機構理事長、アジア太平洋消化器学会機構理事長などを歴任。
消化管の細胞生物学的研究(消化管ホルモン、酸分泌機構、細菌と胃癌)ならびに消化管疾患の治療と予防に関する研究を行っている。