女性がなりやすい便秘。生理中、妊娠中は?悩みのアレコレを専門家が解説

「ダイエットをしたら便秘になってしまった」「生理前は便秘になる」など、お腹の不調に悩む女性は珍しくありません。
そこで今回は、女性が便秘を改善するポイントについて、
辨野腸内フローラ研究所理事長・辨野義己(べんのよしみ)先生に解説いただきました。

女性はなぜ便秘になりやすいの?

女性は男性と比べて、便を出すときに必要なインナーマッスル(腰回りの力)が弱く、食事量(便の材料)も少なく、さらに女性ホルモンの影響を受けることから、便秘になりやすいと言われています。

「日本人女性のなんと約3割は便秘※1で、そのうちの75%は週1回以上便秘を発症しているというデータがあります※2
加齢に伴い便秘有訴者は増えますが、実は若い方にも多く、20代女性だけではなく10代女性でも3人に1人は便秘※3で、学生時代から便秘体質だから……と諦めている方も多いようです」

便秘をそのままにしておくと腸内環境が乱れ、肌が荒れる、イライラしやすくなる、太りやすくなる等、心身ともにさまざまな不調をもたらします。心身共に健やかでいるために、便秘を改善し腸内環境を良好に保つことはとても重要なのです。

  • ※1:ここでは3日以上排便がないことを指します
  • ※2:便秘の15~69 歳女性、n=7,582、株式会社マクロミルによるインターネット調査(2018 年 12 月)
  • ※3:15~69 歳女性、n=25,162、株式会社マクロミルによるインターネット調査(2018 年 12 月)

あなたはどのタイプ?便秘の原因を知ろう!

まずは便秘の原因を探ってみましょう。女性によくある便秘の原因を、タイプ別に解説します。

1 ダイエットをしたら便秘になった

糖質制限や断食など極端なダイエットは、腸内環境にとってよくありません。また、食事量が少ないと、便のかさと水分量が減少するので便秘の原因にもなってしまいます。

2 残便感がある

排便はあるけど便が残っている気がする・・・という方は筋力不足が原因で、女性だけではなく、高齢者にも多いのが特徴です。インナーマッスルが衰えていると、便を出す力が弱いため、すべての便を出しきれず便が滞ってしまいます。

3 コロコロした便が出る

ウサギのフンのようにコロコロした便が出るときは、便に水分が足りていない状態です。便が水分不足になる原因は二つ考えられます。
ひとつはストレスによる自律神経の乱れ。ストレスにより腸の動きが悪くなると、便が腸に停滞し水分が体内に吸収されてしまい、水分の少ない硬い便になってしまいます。もうひとつは水分摂取量自体が少なく、体内に水分が不足している状況です。

4 生理前や妊娠中に便秘に

生理前や妊娠中は、妊娠の成立・維持に必要な「プロゲステロン(黄体ホルモン)」が増えます。この女性ホルモンは、腸管運動を抑える働きもあるため便秘の原因のひとつに。
また妊娠中の便秘は、子宮が大きくなり腸が圧迫されたり、つわりで食事量や水分摂取量が減ったり、さまざまな原因が考えられます。

便秘を改善する4つのポイント

便秘の状態では、便だけではなく悪玉菌も排出されず、腸内環境が乱れてしまいます。悪玉菌が増えると体にさまざまなトラブルを引き起こすこともあるため、「便秘の改善」と「腸内環境を整えること」はとても重要です。特に便秘は慢性化しやすいので、早めに便秘改善することとその予防を心がけましょう。

Point 1 食生活を改善しましょう

ダイエット中であっても過度な食事制限はせず、わかめやバナナ、ごぼう、玄米、さつまいもなどの食物繊維が多い食べ物を中心に、栄養バランスよく食べることが大切です。
また、お肉に偏った食生活をすると、ビフィズス菌などの善玉菌が減少し、悪玉菌が増加してしまいます。お肉を食べるときは、お肉の3倍の野菜を食べるよう意識し、善玉菌のエサを補いましょう。
他にも、朝起きたらコップ1杯の水分をとることがおすすめです。脳が刺激されて、腸への刺激になります。便の約80%は水分のため、毎日の水分摂取量は便に反映されます。しっかり水分をとるよう意識するとよいでしょう。

Point 2 筋力を高めましょう

便を出すときに使う筋肉であるインナーマッスルを鍛えましょう。筋肉は衰えるのは早く、つくまでには時間がかかります。日々の習慣として筋力トレーニングを取り入れ、継続することが大切です。

「日々の生活の中でエレベーターではなく階段を使う、スクワットをする、足踏みをするなど、インナーマッスルを使うことを意識することで『便を出す力』を鍛えることができます」

Point 3 自律神経を整えましょう

自律神経(交感神経・副交感神経)は腸の働きに影響することがわかっています。

「交感神経・副交感神経はシーソーのように切り替わって身体のいろいろな機能をコントロールしてくれています。緊張状態のときは交感神経が、リラックスしているときは副交感神経が優位になり、腸は副交感神経が優位になったときに活発に働きます」

副交感神経の働きをよくし、自律神経を整えるには、起床や就寝の時間を決める、朝起きたら太陽の光を浴びるなど規則正しい生活をすることがとても重要です。
また、好きなことをしてストレスを解消したり、ゆっくりと深呼吸(口から息を吸って、鼻から出す)をする時間をつくることもおすすめです。

Point 4 便秘薬を取り入れてみましょう

これらの生活習慣の改善を行っても便秘が改善されなかったり、多忙で取り組むのが難しい方もいるでしょう。その際は、便秘薬を使うのも有効な手段です。

「便秘薬の成分には、腸を刺激しないタイプと、腸を刺激するタイプの2種類があります。例えば、酸化マグネシウムは、腸を刺激しない成分です。腸に水分を集めて、便を柔らかくする働きがあるため、自然に近いお通じを促してくれます」

1〜3は便秘が改善するだけでなく、日々健やかにすごすためにも大切なポイントです。できることから実践してみてはいかがでしょうか。
また、なかなか改善されない便秘を我慢して過ごすことは、心身の負担になります。適切な便秘薬の使用も検討していきたいところです。
これらを実践しても長期間改善しなかったり、お腹の痛みが強かったりする場合は医療機関の受診を検討しましょう。

特に「妊娠中」の腸内環境はとても大切

女性にとって腸内環境を良好に保つことはすこやかに過ごすために不可欠ですが、妊娠中はとくに重要だと言われています。なぜなら、赤ちゃんの腸内細菌の約36〜40%は、母親と同じ菌だからです。つまり、母親が良い腸内環境であれば、赤ちゃんも良い腸内環境になります。

「これまで、母体にいる赤ちゃんの腸内は“無菌状態”だと言われていましたが、近年の研究ではお腹にいるときから腸内細菌叢ちょうないさいきんそうが形成されていると考えられています。
また、赤ちゃんが産まれるとき、つまり産道を通るときにも、赤ちゃんは口から膣内細菌や腸内細菌を受けとります。
これらの菌は“母親から子どもへの最初のプレゼント”だと言えるのです」

さらに、腸内環境は子どもの生育や知育にも影響すると考えられており、妊娠中に母親が良い排便をする(=腸内環境を整える)ことは大切なポイントです。
しかしながら、妊娠中は食事や運動に制限があり、なかなか改善が難しいこともあるでしょう。

「食生活や運動の改善が難しい場合は、腸を刺激しないタイプの便秘薬(酸化マグネシウム等)を医師、薬剤師又は登録販売者に相談したうえで服用してみてもよいでしょう」

日頃から腸内環境を整えることはとても重要です。便秘は腸内環境の悪化につながるため、「ただの便秘だから」と安易に放置するのではなく、日々の食生活や運動で対策し、改善しない場合は身体に負担のかからない便秘薬などでスムーズな便通を促すことを心がけましょう。

監修
辨野義己
(べんの よしみ)

監修 辨野義己(べんの よしみ)

(一財)辨野腸内フローラ研究所 理事長。理化学研究所名誉研究員。
酪農学園大学獣医学科卒、東京農工大学大学院獣医学専攻を経て理化学研究所に入所、2021年、(一財)辨野腸内フローラ研究所 設立。50年以上にわたって腸内細菌の分類と生態に関する研究に取り組んでいる。「うんち博士」としてテレビ・雑誌などで知られており、『「腸内細菌」が健康寿命を決める』(集英社)や『大便革命』(幻冬舎新書)、『長寿菌が増える食べ方』(三笠書房)など著書多数。

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