排便時に痛みを感じたことのある子どもが便意を我慢したり、便がたまった状態に慣れてしまい便意を感じにくくなっていたり…。
便秘のせいで排便習慣が身につかず、便秘が重症化して悪循環に陥る子どもが増えています。
便秘のサインを見逃さず、早めに対処してあげましょう。
1歳以上の子どもは気をつけて!
便秘チェック

排便の回数が週3回より少ない
便を出すときに痛がって泣く、または硬い便を出したことがある
トイレに詰まるような大きな便を出したことがある
下腹に便の塊があるのを感じる
十分に便が出ていないのに、少量の便が何度も漏れて出る
赤ちゃんから大人までOK!
「の」の字マッサージ

おへそから「の」の字を描くように手のひらでマッサージし、腸の動きを促進。
子どもと向かい合い、触れる行為は、親子のコミュニケーションにもなります。
便秘ぎみの赤ちゃんに!
綿棒浣腸

赤ちゃんは排便のコツがつかめていないから、息んでいるのかもしれません、まずは便秘かどうかの確認を。
10分くらい顔を真っ赤にして息み、排便に苦労していても、少し待って軟らかい便が出るようなら、無理に綿棒浣腸をせず、様子を見てあげましょう。
息んでもなかなか便が出ず、出たとしても普段より硬い便が出たり、便の回数が少ない場合は便秘の可能性があるため、やさしく綿棒浣腸を。
まずは観察してあげましょう。
綿棒浣腸は、両足を持ち上げ、ワセリンやオイルを含ませた綿棒をゆっくりねじるように肛門に差し込み、内側をなぞるようにゆっくり回します。
深さの目安は1~2cmほど。
早ければすぐに便がでることもあります。
出ないときは時間をおいたり、「の」の字マッサージと組み合わせてみてください。
トイレトレーニング後の
便秘予防に役立つポイント

トイレをひとりでできるようになると、おなか具合のチェックも難しくなります。
そこで、子どもが便秘にならないためのひと工夫をご紹介します。
踏ん張り台を設置
小さな子どもはトイレに座っても足が届かず、お腹に力を入れる姿勢がとりづらいもの。
ちょうどよい高さの台を置き、踏ん張りやすくしてあげましょう。
排便日誌で見える化
子どもに便の状態や回数を毎日聞いて、排便日誌を付けましょう。
イラストやシールなどを使えば、楽しく協力してくれます。
おなかの調子の変化にすぐ気づき、治療にも役立ちます。
便の状態は?
ブリストル便性状スケール
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TYPE
1- コロコロ便
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TYPE
2- 硬い便
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TYPE
3- やや硬い便
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TYPE
4- 普通便
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TYPE
5- やや柔らかい便
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TYPE
6- 泥状便
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TYPE
7- 水様便
- ブリストル便性状スケールとは
- 便のタイプを硬さ別に、タイプ1からタイプ7までの7種類に分類。
ブリストル大学のヒートン博士が考案したものです。
引用元:S.J.Lewis&K.W.Heaton:Scand J Gastroenterol 32(9):920-924,1997を元に作成
トイレタイムをつくる
排便習慣をつけるために、胃結腸反射を利用しましょう。
これは、食べ物が胃の中に入ると、結腸(大腸)が動き始めて便が直腸に移動して、排便の準備をするものです。
「朝食後の15分」「夕食後の15分」など、決まったトイレタイムをつくります。
絵本やゲームを持って入るなど、トイレを楽しくする工夫も大切です。
兵庫医科大学 小児科学講座 教授
和歌山県立医科大学医学部卒業後、社会保険紀南綜合病院、済生会有田病院、和歌山労災病院、兵庫医科大学ささやま医療センター、愛知医科大学病院等を経て現職。
【専門】小児消化器、小児感染症(ヘリコバクター・ピロリ、腸管感染症、胃癌予防、慢性便秘など)。